75 日記は書いていますか?

 久々に眠れないのは間違いなく、昼夜逆転した生活の所為であり、決して精神的な問題があるだとかそういうものではない。しかして一人暗い部屋で横になるとじわりと涙が滲み、布団で拭こうかとして、化粧を落としていないことを思い出した。

 枕元の壁に掛かる透明のウォールポケットの一番下をごそごそ探り、ほとんど空いたシートから最後の1錠を取り出し舌の上で転がす。ビオフェルミンと似たような味がして直にそれは溶け咽の奥へと落ちてゆく。先ほどから度々携帯電話が動き、メールの受信と電話の着信を伝えるが、それが今の自分に追い討ちを掛けるように思えて仕方がなく、苛々したまま携帯電話を掴み壁際へ投げつけた。充電器と結合したままの携帯電話は壁に当たることなく途中で床に墜落し、鈍い音ととも背面のカバーとバッテリーとが散らばった。

 冷蔵庫には麦茶が少し残っており、パソコンの横にあった空のグラスを軽く水洗いし半分注ぎ一気飲み、今度は八分目ほど注いでベッドへ戻る。

 何か飲みながら寝ると、目が腫れるなぁと思い、ベッドサイドから机にグラスを移し、スタンバイ中のパソコンを起動させる。メッセンジャーには人もおらず、唯一のオンライン者は数日前にブロックしたばかりだった。仕方なくアンテナ先へ行くが、10サイト程度すぐに見終わり、またもや手持ち無沙汰となる。仕方なくこうして日記でも書いているわけだが、ひょんなことから酷い鬼畜AV作成会社のまとめサイトを閲覧。今度は出来るだけやさしく接してくれる人を探そうと口先だけで言ってみたが、ちっとも忘れ切れていないことばかりで時折鬱陶しくなる。10月になれば新生活が始まりきっと好きな人ができるはずだと、忘れる方法に期待して眠りたいけどちっとも眠れず。眠れないのは間違いなく、昼夜逆転した生活の所為であり、決して精神的な問題があるだとかそういうものではない。そろそろ頭がぼうっとしてきて、深い眠気が襲ってくるはず。一度寝てしまえば、当分は目が覚めず、目が覚めてまだ一人だったならば、また誰かを呼べばいい。いい加減に人と付き合うのってとても楽だって気がついた。