2005-01-01から1年間の記事一覧

携帯のお天気アイコンが雪マークを示しており、朝からぎょっとする。布団に包まったままカーテンを少しずらして外を見ると、向かいの駐車場が白く染まっており空には雪が舞っていた。 時計の針は8時50分。幾らなんでもそろそろ起きないと学校に遅刻してしま…

寝息

電話の向こうの寝息を聴いて、子どもみたいと7つも上のひとを想う。 携帯電話が176分話してたよと御節介にも僕に伝える。3時間の間に僕らは仕事の愚痴をこぼし、今日食べたものを報告して、面白かった本を勧めて、お互いの好きなところを絶賛し合って、血液…

フランクな肉棒

口紅なんかつけなくたって十分に赤いふっくらとした繭子の唇が「お」と発音したときの形に丸く開き、熱を持ったそれにそっと口付ける。あたたかいねと口を少し離して繭子が言う。僕はなぜか興奮して少し勃起してそれが繭子に知れたんじゃないかと思って顔が…

お風呂場血まみれファック

たららんたららんたららんらんたららんたららんらんらららららんお風呂が沸きました。給湯栓を閉めてください。ノーリツの給湯器がうきうきした声で僕にそう言う。僕はキーボードの上でわきわき動く手を止めて、彼女の言うとおり風呂場へ行き赤い色のついた…

44 世界の終末はどのように訪れると思いますか。

世界の終末なんて訪れないんじゃないかと思った。それでも4月23日はやってきてあと5時間で世界が終わる。僕は僕の狭いアパートの青いベッドで亜佐美を抱いて、亜佐美は赤く腫れた目を閉じ今は寝息を立てている。世界が終わるときをベッドの上で愛する人を抱…

煙草

ベッドに腰掛け煙草を吸う。隣の繭子は何も言わずじっと僕を見ている。僕は部屋の隅に脱ぎ散らかした服を見てすうっと長く煙を吐く。二人分の散乱した服を見ても、ベッドに座る自分たちを見てもいまいち実感が沸かなかった。 繭子は僕の前では煙草は吸わない…

51 「ファンタジー」とは?

この部屋には2種類の時間が流れていて、朝日が昇るころにお昼ご飯を食べたりする。 僕は2時間ほど仮眠しただけで先程から仕事を続けている。目が冴えているのは、仮眠をしたせいではなく、白い時計が午後1時20分を指しているからかもしれない。部屋に唯…

エキセントリックな缶のバッグと世界誕生の瞬間と文庫と白いCDR9枚とグッチとクリちゃんと豆とバラとアドベンチャーワールドとコーヒーと嬉しい気持ちと素敵なベルトと水と牛乳とたくさんの発泡酒とたらチーズサンド(死ぬほど好物)と本3冊とCD3枚と昨日買ったCDと煙草と青いライター2つ。

部屋の所々にあるたくさんのものを見つけて驚く。あ、外国の紙幣2枚とコイン2個も貰った。

目が覚めると7時50分で、僕は朝ごはんを食べる間もなく8時9分発の電車に飛び乗った。 家からホームまで数分走っただけだが息は荒く、日頃の運動不足を悔やんだ。通勤時間真っ只中の混雑した車内の熱気が今の僕には暑苦しく、10月も終わりに近付いているとい…

恋って楽しい!

僕の横で半裸の繭子は「あのねあのね、すきなひとができたの」と嬉しそうに少し照れながら言った。僕は価値観の違いにあっけに取られながらあぁそうとだけ言った。 すきなひとは今月はじめから通っているパソコン教室の講師でと繭子の話は続いた。勿論僕は話…

私心

僕は倫子の描く絵がとても好きだった。僕は倫子自身をとても好きだった。 僕が好きだったのは彼女か彼女の才能か。 彼女と別れて数年後、手にした洋書に彼女の黒い絵を見つけたとき、僕の中の何かが溶けた。 僕は倫子の描く絵がとても好きだった。僕らは離れ…

造形学校で同じクラスだった倫子は、真黒に塗りたくったカンバスに「黒」と名付けて提出するような少女で、作風は難解を通り越して率直というかそのまんまのものが多かった。それでも僕は彼女の「黒」を見たとき、敵わないと思った。彼女のことをもっと知り…

飯田

折角来てもらって悪いんだけど、さっき生理になっちゃって。 飯田にそう伝えるとフェラチオを強要されて、拒否すると頬と腹を殴られた。 飯田がここへ来るようになって2ヶ月が過ぎた。大手通信会社のサラリーマンである彼は仕事の帰り道である私の家へ寄るこ…

シチュー

電話の向こうの加奈子はころころと笑い声を上げる。 9月末の深夜は肌寒くTシャツの上にフリースを羽織ってきたもののまだまだ風が冷たかった。アパートの屋外階段に腰掛ながら空を見上げる。曇っているのか排気ガスの所為なのか星は見えなかった。 料理が上…

75 日記は書いていますか?

久々に眠れないのは間違いなく、昼夜逆転した生活の所為であり、決して精神的な問題があるだとかそういうものではない。しかして一人暗い部屋で横になるとじわりと涙が滲み、布団で拭こうかとして、化粧を落としていないことを思い出した。 枕元の壁に掛かる…

おやすみなさい。

時折無性に寂しくなって、夜中の二時半に電話をすれども繋がるわけはなく"もう寝た?"とだけメールを入れて玄関でしゃがんで少し泣いた。 向き合って目も合わせず、肩元に顔を寄せる。間近で顔を見ることができず、未だに口を合わせることすらままならない。…

43 超能力やUFOを信じますか?

午前11時にセットした目覚まし時計が鳴る前に目が覚めてしまった。午前10時。実は8時半にも一旦目が覚めて寝なおしたのだが、毎日8時に起きて出勤してきたのだから突然11時まで寝ていろという方が無理なのかもしれない。折角の休みに早起きしてしまって何故…

46 最近の凶悪犯罪についてどう思いますか。

8年振りに会った元彼女がヤリマンのさせ子に変身していた。ホテルでセックスした後、中学の同級生3人ともやったことを普通に打ち明ける彼女を見て、なんだか無性に腹が立ったから乱暴に2回セックスした。(2回とも彼女は歓喜の声を上げていた)顔に精子ぶ…

42 人間のクローンについてあなたの考えは。

ねぇ、あなたはどう思う?どう思うってそれ、誰に尋ねているの?誰って、クローンである貴方に尋ねているの。僕はクローンだからその問題についてどうこう議論できる立場にはないな。あら、お堅いひと。君が選んだ男だろう?ええ、そうね私と、私の姉が選ん…

45 世界平和は実現しますか。

中庭は唯一病院の匂いのしない(正確にいうと病院の匂いの薄い)場所だった。28になるまで病院とは無縁の生活をしていた僕には、たった数日の入院でも息が詰まりそうだった。偶然見つけた中庭で昼寝をすることが僕の日課(まだ入院2日目だけれど)(しかも明…

始まる前に終わる

最初に誘ったのは彼女の方だった。CDを焼かせて欲しいという彼女の誘いに応じ、部屋に招き入れられた。見慣れたその部屋はいつもに比べ数倍は片付いており、シンクに食器が数枚溜まっていたものの床には何も落ちていなかった。室内用の物干しにTシャツやら…

7月12日

12時5分に母親が孝ちゃんお誕生日おめでとうと言った。その言葉で気付いた訳ではないけれど、僕は26歳になった。 パソコンのタスクの時計を見る。12時を少し回ったところ。今日は1年前に別れた恋人の誕生日だった。孝一と別れた後、私は合コンで知り合った男…

電車男

瞑っていた目を開けると、ラフなサンダルの女の足が目に入った。 僕の前に白いワンピースにグリーンのカーディガンを羽織った女が立っていた。細い彼女には似合わない大きさの腹が妊婦であると控えめに主張している。妊娠初期なのか、まだ腹はそれほど重そう…

Musical Baton 2 

小噺もそこそこ。 id:nisinaoさんからMusical Batonが回ってきたので突然答えます! ●Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) 5GBくらい。 ●Song playing right now (今聞いている曲) スチャダラのなんなの…

Musical Baton

「あなたに、クリスティーヌは譲るわ。今度の公演、がんばって」 かつての看板女優は、そこにはいなかった。 劇団に入って5年。数々の舞台で主役を演じて来たが、2歳先輩の彼女の演じるクリスティーヌ役だけは貰えなかった。私が女優を志そうと思ったきっか…

マニキュア、少女

お昼ご飯を買いに行くついでに、商店街のファンシーな店でマニキュアを買う。 昨日買ったばかりの紅色のソールのサンダルに似合う赤紫のマニキュアを買った。200円。地味な服装の自分に深い紫は似合わないと思った。爪の地色に近い赤系の、透明感のある赤紫…

アロンアルファと包茎手術

「皮を引っ張ってアロンアルファでくっつけるんだって!」 沙織がアロンアルファ片手ににこにこと楽しそうに話す。少しアホっぽい。 前戯もそこそこ、さてベッドに移動しようかねというところで沙織が机の引き出しからアロンアルファを持ち出した。 「汚いか…

フジコ

もうさー意味のないセックスはしないでおこうと思うんだ。 僕の上で腰を揺らしながらフジコが言った。 で、これはなんなわけ?セックス。もうしないんじゃなかったの?あーうん。してるじゃん。うん。なんでしないでおこうなんていきなり思ったの?だって、…

色気と勃起

斉藤アキは高校の同級生で一番中の良い女子。いつもジーパンにオールスターで化粧っ気がない。そんなアキが今なぜか僕の下半身を弄っていて、僕は彼女を男友達と同列に並べていたにも係わらずこれでもかってくらい勃起していた。つーか斉藤の触り方がえろい…

和美

悪い子だね。僕は平静を装って和美に伝える。 僕の下腹部に顔を埋めた和美は僕からそっと口を離し「悪い子は嫌いですか?」と悪そうに笑いながら言った。いいや、と少し間を空けて答える。少しはニヒルに聞こえたかもしれない。そう思った瞬間、鼻で笑われた…