恋って楽しい!

 僕の横で半裸の繭子は「あのねあのね、すきなひとができたの」と嬉しそうに少し照れながら言った。僕は価値観の違いにあっけに取られながらあぁそうとだけ言った。
 すきなひとは今月はじめから通っているパソコン教室の講師でと繭子の話は続いた。勿論僕は話半分で適当に相槌を打ち、ひと段落ついたところで「すきなひとができたのになんで俺とこういうことをしてるわけ」と尋ねた。
 え、それとこれとは関係なくない?
 語尾を上げて不思議そうに僕に返した繭子の言葉に、あぁ繭子って名前の女は悪い女が多いのかしら、そのうちタッくんとか呼び出したらどうしようかなどと思った。
 その後、繭子の胸や下半身に手を伸ばし彼女が喘ぎと笑いの中間の声を出し始めたとき、またもや嬉しそうに「恋って楽しいよねー」などと言う。しかし僕は何故か逆に興奮した。
 恋してないなぁなどと思いながらセックスした。多分お互い全然関係ないことを考えながらのセックスで、それでも普通のセックスと同じように気持ちよかった。なにが本当なのかわからないなぁと思った。
 今日3回目の射精の後、繭子がパソコン教室の講師と付き合うようになればこの関係は終わるのかなと思うと、少し寂しかった。