消失点

 喫煙コーナーから外を見る。向かいのビルと向かいのビルの隙間を赤い電車がちらりと横切る。7階のフロアから1780ミリ上がったところに僕の視点。向かいのビルも遠くのビルも僕の正面に線が延びる。線は一点に集まる。世界が線で構成されて、デジタルなイメージが不意に広がる。勿論それが実際目に見えることはなく、僕はマトリクスの外へ出られないことを残念に思う。